「代謝は30代から落ちる」は本当か。6,421人を測ったら、20歳から60歳まで横ばいでした

代謝が落ちるのは30代ではないことを示した記事のアイキャッチ画像。6421人を測った研究より ダイエット

30代になって体重が増えたとき、まず思い浮かぶ言葉があります。

「代謝が落ちたから」

私も長いことそう思っていました。年齢とともに燃えにくくなる。だから同じ食事でも太る。よくできた説明です。

ところが、29か国の6,421人を実際に測った研究では、そうなっていませんでした。

体格の差をそろえて比べると、エネルギー消費は20歳から60歳まで横ばいだったのです。

この研究が特別なのは、測り方です。アンケートでも計算式でもなく、二重標識水法という、

体が実際に使ったエネルギーを追跡する方法で測っています。生後8日から95歳までが対象です。

代謝が落ちはじめるのは、30代ではありません

体格の差をそろえて比べると、エネルギー消費は20歳から60歳まで横ばいでした。

29か国の6,421人を実測した結果です。30代でも40代でも、50代でも下がっていません。

体格差で調整した一日のエネルギー消費が乳児期・成長期・成人期・高齢期の四つに分かれ、成人期の20歳から60歳までは横ばいであることを示した図|代謝 30代 落ちる

→ 30代で体重が増えたとき、その理由を年齢に求める根拠は、この測定からは出てきません。

落ちはじめるのは60歳から。しかも1年で0.7%です

下がりはじめる時期はありました。60歳ごろです。

ただし下がり方は、1年あたり0.7%。ある日を境にガクッと落ちるものではありません。

エネルギー消費が下がりはじめるのは60歳からであり、その低下は一年あたり0.7%とゆるやかであることを数字で示した図|代謝 60歳 低下

→ 60歳を過ぎても、10年で7%ほどです。生活の側で動かせる幅のほうが、はるかに大きいことになります。

人生でいちばん燃えているのは、1歳のときです

いちばん高いのは若い成人ではありませんでした。1歳から2歳です。

その時期の消費は、成人の水準を100としたとき147.8。およそ1.5倍あります。

体格差で調整したエネルギー消費は1歳から2歳のときに成人を100として147.8となり、人生で最も高くなることを示した図|代謝 子ども ピーク

→ 「子どもは代謝がいい」は本当でした。ただしピークは、思っているよりずっと早く来ています。

「若い頃は食べても太らなかった」の”若い頃”は、10代までです

1歳から20歳にかけては、1年あたり2.8%ずつ下がり続けます。

そして20歳から25歳で102.7、つまり成人の水準に着地します。そこから先は動きません。

エネルギー消費は1歳から20歳にかけて一年あたり2.8%ずつ下がり続け、20歳から25歳で成人の水準である102.7に着地することを示した図|代謝 10代 20歳

→ 学生の頃と比べて変わったと感じるなら、それは正しい。ただし変化は20歳までに終わっています。

妊娠中も、横ばいでした

これは意外でした。妊娠期間中も、体格の差をそろえて比べると横ばいだったのです。

論文はそこをはっきり書いています。成人期は安定していて、妊娠中もそうだ、と。

妊娠中であっても体格差で調整したエネルギー消費は成人期の水準から変わらず横ばいだったことを示した図|代謝 妊娠中 変わらない

→ 体は大きくなるので消費そのものは増えます。変わっていないのは「1kgあたりの燃やし方」のほうです。

では、30代以降に増えた体重は何だったのか

ここが、この研究のいちばん実用的なところだと思います。

この研究が差をそろえたのは除脂肪量、つまり主に筋肉の量です。

言いかえると、1kgあたりの燃やす効率は落ちていない。落ちうるのは、燃やす体そのものの量です。

体重1kgあたりの燃やす効率は加齢で落ちないが、燃やす体そのものである除脂肪量つまり筋肉の量は減りうることを対比した図|代謝 筋肉量

→ 守るべきものは「代謝」という抽象ではなく、筋肉の量でした。ここは年齢と関係なく動かせます。

今日やること

# やること なぜ
1 体重だけでなく、体組成(筋肉量)も月1回みる 変わったのは効率ではなく量のほうだから
2 たんぱく質が足りているか一度数える 筋肉の材料が足りないと、量を保ちにくい
3 週2回、脚と背中を使う動きを入れる 大きい筋肉から減っていくため
4 「代謝が落ちた」で説明を止めない 止めた時点で、動かせるものが見えなくなる
5 60歳以降は、量の維持をより意識する ここから年0.7%の低下が始まる

体組成の確認からたんぱく質の量を数えること、脚と背中を使う運動、60歳以降の意識までの五つの手順を順に示した図|代謝 筋肉 維持

念のため

・この研究は集団の平均の話で、個人差はあります

・体調や持病によって当てはまらない場合があります

・急に食事や運動を変える前に、通院中の方は主治医にご相談ください

よくある質問

Q1. 二重標識水法とは何ですか?

水素と酸素に印をつけた水を飲み、体から抜けていく速さから、実際に使ったエネルギーを割り出す方法です。アンケートや計算式より正確に測れます。

Q2. 基礎代謝の話ですか、それとも1日の総消費ですか?

この研究は1日の総消費が中心ですが、基礎代謝についても同じ傾向が報告されています。どちらも成人期は安定していました。

Q3. 30代で体重が増えたのは気のせいですか?

いいえ。増えたこと自体は事実です。ただし理由を年齢に置くと、動かせるものが見えなくなります。筋肉の量と生活の側を見てください。

Q4. 男女で違いはありますか?

対象の64%は女性です。体格の差をそろえた比較で、この4つのステージは共通して見られました。

Q5. 60歳を過ぎたらどうしようもないですか?

そうではありません。年0.7%という速さです。10年で7%ほどなので、生活の側で動かせる幅のほうが大きいと言えます。

Q6. 筋肉を増やせば消費は増えますか?

筋肉の量が増えれば、体全体の消費は増えます。ただし1kgあたりの効率が変わるという話ではありません。

Q7. 何歳まで対象になっていますか?

生後8日から95歳までです。乳児から高齢者まで、同じ方法で測ったところにこの研究の価値があります。

Q8. 日本人にも当てはまりますか?

29か国のデータで、共著者には日本の研究者も入っています。ただし個々の生活習慣による差はあります。

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ご利用にあたっての注意

本記事は健康・栄養に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の疾病の診断・治療・予防を目的としたものではありません。紹介した研究は集団を対象としたもので、感じ方や当てはまり方には個人差があります。持病のある方、通院中・服薬中の方、妊娠中・授乳中の方、体調に不安のある方は、自己判断で実践せず、医師・薬剤師・管理栄養士などの専門家にご相談ください。

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この記事を書いた人

てびき

てびき
学習塾を営む二児の親/健康・栄養の情報を発信
    • コロナ以前から仕事のなかで健康と栄養の知識を学び続けてきました
    • 子どもの食育に取り組み、塾では大人にも栄養の話をしています
    • 自身のうつの経験から栄養に行き着き、ダイエットも実践中
    • 医療系の国家資格は持っていません。だから出典を明示して書いています

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免責:本記事は情報提供を目的としたもので、診断・治療を目的としたものではありません。体調に不安がある場合は医師・薬剤師など専門家にご相談ください。

最終更新: 2026年8月9日

更新履歴

    • 2026-08-09 初版公開

参考にした資料

  • Pontzer H, Yamada Y, ほか(IAEA DLW Database Consortium). Daily energy expenditure through the human life course. Science. 2021;373(6556):808-812.
  • 厚生労働省 日本人の食事摂取基準
  • 国立健康・栄養研究所 健康・栄養に関する情報

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