栄養成分表示の数字は、少ない側には20%までしか外れません

栄養成分表示に決められた許容差を示したアイキャッチ画像 栄養学

「たんぱく質10g」と書かれたヨーグルトに、実際は8.5gしか入っていなかった。

これは違反ではありません。

食品表示基準という内閣府令に、表示された数字がどこまでずれてよいかが成分ごとに決められているからです。この幅を「許容差の範囲」と呼びます。

たんぱく質10gと表示された食品が、実際には8gから12gまで許容されることを数直線で示した図|栄養成分表示 許容差の範囲

ただ、この幅は無秩序ではありません。読むと、はっきりした規則性があります。少ない側は、どの成分も一律で20%まで。ゆるいのは多い側だけです。

そこを知ると、表示の数字の使い方が変わります。この記事では、法令の本文に何が書いてあるかを整理します。

少ない側に外れてよいのは、どの成分も20%までです

先に、いちばん使えるところから書きます。

食品表示基準の別表第九には、成分ごとに許容差の範囲が並んでいます。熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量、ミネラル13種類、ビタミン13種類。全部で30以上あります。

その全部を並べて見ると、マイナス側はすべて20%で揃っています。例外はありません。

たんぱく質も鉄もビタミンCも、少ない側の許容差はすべてマイナス20%で例外なく揃っていることを示した図|栄養成分表示 許容差

たんぱく質も、鉄も、ビタミンCも、少ない側に許されているのは20%までです。

→ だから表示は「最低これだけは入っている」と読めます。10gと書いてあれば、8g以上は入っている。この読み方なら、どの数字も使えます。

ゆるいのは多い側だけ。しかも成分によって3段階に分かれています

そのうえで、多い側を見ると景色が変わります。

許容差がプラスマイナス20%・プラス50%・プラス80%の3段階に分かれることを示した図|栄養成分表示 許容差

プラス側は3つに分かれています。

プラス・マイナス20%のグループ。熱量、たんぱく質、脂質、飽和脂肪酸、コレステロール、炭水化物、糖質、糖類、食物繊維、そしてナトリウム。上下が対称なのは、このグループだけです。

プラス50%、マイナス20%のグループ。亜鉛、カリウム、カルシウム、鉄、銅、マグネシウムといったミネラルと、ビタミンA・D・E・Kです。

プラス80%、マイナス20%のグループ。ビタミンB1、B2、B6、B12、C、葉酸、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン。

並べると、水に溶けるビタミンほど上に甘くなっています。

→ 「多めに入っているかもしれない」の幅は、成分によって4倍違います。栄養素の数字を見るときは、まずどのグループかを思い出してください。

ビタミンCは、表示の1.8倍入っていても違反ではありません

3段階のいちばん上を、具体的な数字にしてみます。

ビタミンC1000mgの表示が800mgから1800mgまで許容される非対称な幅を示した図|栄養成分表示 許容差

ビタミンCの許容差はプラス80%、マイナス20%です。1000mgと書いてあれば、800mgから1800mgまでが基準の範囲内ということになります。

倍以上の開きに見えますが、これは分析のばらつきが大きい成分だからです。ビタミンCの測定方法は、法令に4種類が並んでいます。どれを使ってもよいことになっています。

→ サプリの「1000mg」は、「1000mgちょうど」ではなく「800mg以上」と読むのが正確です。少ない側は守られています。

炭水化物だけは、そもそも測っていません

ここは、知ると表示の見え方が変わるところです。

別表第九には、成分ごとに測定方法も書いてあります。たんぱく質は窒素定量換算法、脂質はゲルベル法か溶媒抽出。ビタミンCにいたっては4種類の方法が並んでいます。30以上ある成分のほとんどに、こうして機械で測る方法が指定されています。

ところが炭水化物の欄だけ、書いてあることが違います。

炭水化物が食品全体の重さからたんぱく質・脂質・灰分・水分を引いて求められることを示した図|栄養成分表示

当該食品の質量から、たんぱく質、脂質、灰分及び水分の量を控除して算定すること。つまり引き算です。

全体の重さから、たんぱく質と脂質と灰分と水分を引いた残りが炭水化物、という決め方になっています。糖質はさらに食物繊維も引きます。

→ たんぱく質や脂質の測定にずれがあると、そのぶんは全部この残りに乗ります。炭水化物の数字は、他の成分より粗いものだと思って見るほうが実態に合っています。

表示された値は、分析していないことがあります

ここも法令に、はっきり書いてあります。

原則は、指定された方法で測った値を表示することです。ただし条件を満たせば、合理的な推定により得られた値でも表示してよいことになっています。

原材料それぞれの成分値から計算する、あるいは食品成分データベースの値を使う。そういう求め方が認められています。

定められた方法で測る分析値と、原材料から計算する推定値の違い。推定値には一致しない可能性を示す表示義務があることを示した図|栄養成分表示

ただし、推定値を使うには2つの条件があります。

1つは、表示された値が分析値とは一致しない可能性があることを、表示すること。もう1つは、値の根拠資料を保管することです。

→ 前者は消費者に見える形で書かれます。パッケージに「推定値」「この表示値は目安です」といった記載があれば、それは分析ではなく計算で出した数字だという合図です。

「低カロリー」と書いてある商品のほうが、根拠は固くなります

ここが、この制度でいちばん意外なところだと思います。

強調表示ができる成分は決まっています。少ないほうを強調できるのは、熱量・脂質・飽和脂肪酸・コレステロール・糖類・ナトリウムの6つだけです。

推定値が使えるのは、あくまで普通に成分を表示する場合です。「低カロリー」「減塩」「糖類ゼロ」といった強調表示をするときは、推定値は使えません

消費者庁の資料に、こう明記されています。栄養強調表示をする場合、強調された成分の値は、食品表示基準の別表第九第三欄に掲げる方法によって得ることとしています、と。

低カロリーや減塩などの強調表示をする場合は推定値が使えず、定められた方法で測った値だけを表示できることを示した図|栄養成分表示 強調表示

売り文句が付いているほうが、いいかげんな数字なのではないか。そう思っていたのですが、制度としては逆でした。

→ 「減塩」と書かれた商品の食塩相当量は、定められた方法で測った値になります。強調されている成分に限っては、根拠が一段固いと考えて構いません。

「ゼロ」「控えめ」「ライト」には、全部に数字の基準があります

雰囲気で使われている言葉に見えますが、これらは基準のある表示です。

ゼロは5kcal未満、ライトは40kcal以下、30%カットは25%以上の差という、表示ごとの数値基準を並べた図|栄養成分表示 強調表示の基準

「ゼロ」「ノン」「無」は、含まない旨の表示です。熱量なら100gあたり5kcal未満、飲料は100mLあたり5kcal未満。脂質と糖類は0.5g未満、ナトリウムは5mg未満です。

「低」「控えめ」「ライト」「オフ」は、低い旨の表示です。熱量なら100gあたり40kcal以下、飲料は100mLあたり20kcal以下。ナトリウムは120mg以下です。

「30%カット」「ハーフ」は、他の食品と比べた表示です。比較対象との差が基準値以上あることに加えて、25%以上の相対差が必要になります。ただし消費者庁の資料では、みそは15%、しょうゆは20%と例外が示されています。

例外はもう1つあります。ノンオイルドレッシングだけは、脂質の「含まない旨」の基準が0.5gではなく3gとされています。

→ これらは全部、数字に翻訳して読めます。「ライト」を見たら「100gで40kcal以下なんだな」と置き換えてください。

今日やること

表示は最低量として読む、推定値の記載を探すなど、栄養成分表示の読み方5項目をまとめたチェックリスト図|栄養成分表示 読み方

# やること 理由
1 表示は「最低これだけは入っている」と読む 少ない側はどの成分も20%までしか外れない
2 ビタミン・ミネラルは多い側にぶれる前提で見る プラス50%とプラス80%のグループがある
3 パッケージに「推定値」の記載がないか探す あれば分析ではなく計算で出した値
4 「低」「ゼロ」「ライト」は数字に置き換える 全部に基準値が決まっている
5 炭水化物の数字は他より粗いと考える 引き算で求めているため誤差が集まる

念のため

・この幅は制度として決められたもので、表示の偽装とは別の話です

・含有量が少ない食品は、割合ではなく決まった量で判定されます(熱量25kcal未満ならプラスマイナス5kcal)

・食事のことで気になる症状があるときは、医療機関にご相談ください

よくある質問

Q1. 表示より少ない商品を買ってしまうことはありますか?

少ない側は、どの成分も20%までと決められています。10gの表示なら8g以上です。それより下回っていれば基準の範囲外になります。

Q2. なぜ多い側だけゆるいのですか?

法令には理由まで書かれていません。事実として言えるのは、分析のばらつきが大きい微量の成分ほど、プラス側の幅が広く設定されているということです。

Q3. 「0kcal」は本当に0ですか?

100gあたり(飲料は100mLあたり)5kcal未満であれば、0と表示できます。別表第九の第五欄に「〇と表示することができる量」として決められています。たんぱく質・脂質・炭水化物などは0.5gです。

Q4. カロリー計算をしている場合、どう扱えばいいですか?

表示は下振れが20%までなので、合計の下限としては使えます。ただし1食ごとに正確な数字を出す道具ではありません。代謝そのものの話は「代謝は30代から落ちる」は本当かで整理しています。

Q5. 食物繊維の表示はどこまで信じられますか?

食物繊維はプラス・マイナス20%のグループです。目標量そのものの考え方は食物繊維の「目標量」は、理想の数字ではありませんにまとめています。

Q6. 表示義務があるのはどの成分ですか?

熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量の5つです。ビタミンやミネラルは、表示する場合にこの許容差が適用されます。

Q7. 検査の数字と実際のずれ、という話は他にもありますか?

水道水の例になりますが、水道水の「不検出」は、ゼロという意味ではありませんで、検出限界と不検出の関係を整理しています。同じ「決められた基準の中での数字」という型です。

Q8. 表示制度そのものに興味があります。

書かれないものがある、という角度では「ゲノム編集食品」が売り場で分からない理由原材料表示に書かれない添加物があるがあります。

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ご利用にあたっての注意

本記事は食品表示基準に定められた栄養成分表示の許容差について、法令原文と消費者庁の公表資料をもとに整理した一般的な情報提供です。特定の商品や事業者の表示について、適否を判断するものではありません。栄養成分表示は健康状態を決めるものではなく、体調や食事について不安がある場合は医療機関にご相談ください。

信頼できる公的情報

この記事を書いた人

てびき

てびき
学習塾を営む二児の親/健康・栄養の情報を発信
    • コロナ以前から仕事のなかで健康と栄養の知識を学び続けてきました
    • 子どもの食育に取り組み、塾では大人にも栄養の話をしています
    • 自身のうつの経験から栄養に行き着き、ダイエットも実践中
    • 医療系の国家資格は持っていません。だから出典を明示して書いています

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免責:本記事は情報提供を目的としたもので、特定の商品の表示の適否を判断するものではありません。

最終更新: 2026年8月18日

更新履歴

    • 2026-08-18 初版公開

参考にした資料

  • 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)別表第九、別表第十、別表第十三(e-Gov法令検索で全文を確認)
  • 消費者庁「食品の栄養成分表示制度の概要」(令和7年9月30日版)
  • 消費者庁「栄養成分表示について」

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