接種のあと、なんとなく体が重い。前より疲れやすい。頭に霧がかかったようで、集中が続かない。
病院で調べてもらっても「異常なし」。しばらくすると「気のせいでは」「疲れでしょう」と言われた。
自分がおかしいのかと思いはじめた。
この記事は、その状態の人に向けて書いています。
日常が止まってしまった人にも、「はっきり困ってはいないが、なんとなく戻らない」という人にも、同じことをお伝えします。
あなたと同じ症状の人は、論文に記録されています。
そして日本には使える制度があり、その制度には意外な入口があります。
同じ症状の人は、179例の論文に記録されている
全国14の医療機関が、接種後に症状が続いた人を登録して調べた研究があります。
確定例として179人が解析され、2026年に学術誌に掲載されました。
記録された症状は493件。1人あたり2つ前後で、多い人は29個を抱えていました。
そのうち61.7%が、全身の症状・神経の症状・筋肉や関節の症状に集中しています。
だるさ、思考の霧、めまい、体の痛み。あなたが感じているものが、そのまま並んでいます。

→ 自分だけがおかしいのかもしれない、と思う必要はありません。分布として記録されています。
「1年以上たってから」の発症も、12.4%記録されている
発症の時期は、70%が接種から90日以内でした。
見落とされがちなのはここです。12.4%は、360日を超えてから症状が出ています。
「もう1年たっているから関係ない」と言われた人がいます。けれど1年以上あとの発症は、記録の中に確かにあります。

→ 時期だけを理由に、自分で可能性を消さなくて大丈夫です。
戻るまでに200日から400日かかる症状群がある
知っておくと見通しが変わる数字です。
神経の症状、全身の症状、筋肉や関節の症状は、落ち着くまでに200日から400日以上かかった例が
まとまって記録されています。
つまり「もう戻らない」ではなく、「時間の単位が長い」という性質を持っています。

→ 数週間で戻らないことを、失敗だと受け取らなくて大丈夫です。
検査で異常が出ないのは、あなたのせいではない
いちばん誤解されているところです。
接種後に症状が続く状態には、確立した診断基準がまだありません。
基準がないということは、通常の血液検査や画像検査の項目に、それを捕まえる項目が入っていないということです。
異常なしという結果は、症状がないという意味ではありません。
医学の側の整理が、まだ追いついていないという意味です。
→ 「異常なし」と言われたことを、自分を疑う理由にしないでください。
体の中で起きていることは、見え始めている
米国の大学が続けている研究では、症状が続く人からいくつかの特徴が報告されています。
接種から数か月から数年たってもスパイク蛋白が血液中に残っている例があること。
過去に感染したヘルペス属のウイルス(EBV)が再び活動している形跡が多いこと。
免疫細胞の構成が、症状のない人と違っていること。
ここは正直に書きます。これらの報告は、まだ査読を通っていない段階のものです。確定した話としては扱えません。
それでも「何も見つかっていない」という説明は、いまは正確ではありません。
→ 探されていないのではなく、探している最中です。
提案されている対処のうち、いちばん安全なのは「測る」こと
診療にあたっている医師や研究会からは、いくつかの対処が提案されています。
血液中のビタミンDの値を測り、不足していれば補うこと。亜鉛やビタミンB12の不足を確認すること。
立ちくらみやだるさを、自律神経の問題(起立性調節障害)として診てもらうこと。
いずれも、比較試験で確かめられた段階のものではありません。
これを飲めば良くなる、という受け取り方はしないでください。
ただしこの中に1つだけ、性質の違うものがあります。「測る」という行為です。
血液中の値を測ることは、それ自体が体に負担をかけません。結果は数字として残ります。
そして数字は、次に受診したときに主治医へ持っていけます。
ただし「測る」と言っても、ビタミンDには性質の違う検査が2種類あります。どちらを頼むかで、返ってくる数字の意味が変わります。項目名の伝え方と保険が使える条件は「疲れが取れない」ときに測ってもらう血液項目にまとめました。

→ 何かを試す前に、まず測る。ここから始めるのがいちばん安全です。
国の制度は「証明」を求めていない
ここからが、この記事でいちばん実用的な部分です。
日本には予防接種健康被害救済制度があります。
因果関係を証明できないと無理でしょう、とあきらめている人が多いのですが、
厚生労働省の審査方針にははっきりこう書かれています。
厳密な医学的な因果関係までは必要とせず、接種後の症状が予防接種によって起こることを
否定できない場合も対象とする
証明までは求められていません。「否定できない」で対象になります。
実際、2026年7月16日時点で申請15,491件のうち9,491件が認定されています。

→ 証明できないから、を理由にあきらめる必要はありません。
認められなかった理由の4番目が「資料が足りない」
同じ資料に、認められなかった理由が4つ挙げられています。その4番目がこれです。
因果関係について判断するための資料が不足しており、医学的判断が不可能である
つまり記録がないと、中身を見てもらう以前に落ちます。
症状があっても、受診していなければカルテがありません。
カルテがなければ、いつ何が起きたのかを示すものがありません。
→ 今日からできることは、受診して記録を残すことです。
これは制度を使うためだけでなく、自分の経過をあとから確かめるためにも役に立ちます。
請求する内容によって、通り方はまったく違う
ほとんど語られていませんが、知っておく価値があります。2026年7月16日時点の累計です。
| 請求する内容 | 申請 | 認められた | 認められなかった |
|---|---|---|---|
| 全体(医療費・医療手当など) | 15,491 | 9,491 | 4,773 |
| 死亡一時金・葬祭料 | 2,004 | 1,077 | 764 |
| 障害年金 | 1,146 | 223 | 653 |
| 障害児養育年金 | 31 | 1 | 24 |
障害年金は、認められた数より認められなかった数のほうが多いことが分かります。

→ 「認定率」という1つの数字はありません。迷ったら、まず医療費・医療手当から相談するのが現実的です。
今日やること
| # | やること | なぜ |
|---|---|---|
| 1 | 症状が出た日と、接種した日をメモする | 時間の前後関係があとで効いてきます |
| 2 | 受診して、症状を記録に残してもらう | 記録がないと制度の土俵に乗りません |
| 3 | だるさや立ちくらみが強いなら、自律神経の面からも診てもらえないか相談する | 診る角度を変えると拾えることがあります |
| 4 | 血液の値(ビタミンDなど)を測れないか聞いてみる | 測るだけなら負担が小さく、数字が残ります |
| 5 | 住んでいる市区町村の窓口に、救済制度の申請方法を聞く | 申請の入口は市区町村です |

念のため
・接種後に症状が続く状態には、まだ確立した診断基準がありません
・ここで挙げた対処は、比較試験で確かめられたものではありません
・自己判断で薬をやめたり始めたりせず、必ず主治医に相談してください
よくある質問
Q1. 接種から1年以上たっています。もう関係ないですか?
時期だけを理由に否定はできません。記録された例では、12.4%が360日を超えてからの発症でした。受診して記録を残すことから始めてください。
Q2. 検査で異常なしと言われました。それでも申請できますか?
できます。制度は厳密な因果関係の証明を求めていません。ただし判断の材料になる記録は必要なので、受診の記録は残してください。
Q3. どこに申請するのですか?
お住まいの市区町村の窓口です。そこから都道府県を経て、国の審査会に進みます。
Q4. 結果が出るまでどれくらいかかりますか?
審査会は継続的に開かれていますが、資料の追加などで時間がかかることがあります。現在も審査中の件数が相当数あります。
Q5. ビタミンDを飲めば良くなりますか?
そうとは言えません。不足を補うことと、症状の原因に働きかけることは別の話です。まず測って、結果を主治医に見てもらってください。
Q6. 精神科に行くように言われました。
症状が続くと気分の落ち込みを伴うことはあり、そこへの対応が必要な場合もあります。ただしそれは、体の側の検討を終わりにする理由にはなりません。両方を並行して相談してください。
Q7. 家族に理解してもらえません。
179例の論文に症状の分布が記録されていること、国の制度で9,491件が認定されていることは、説明の材料になります。
Q8. 子どもの症状でも対象になりますか?
対象です。ただし障害児養育年金は申請数自体が少なく、認められた例も限られています。まずは医療費・医療手当の相談から始めてください。
あわせて読みたい
本記事は公開情報の整理を目的とした情報提供であり、特定の疾病の診断・治療・予防や、予防接種の実施・中止を勧めるものではありません。紹介した対処は比較試験で確かめられたものではなく、感じ方には個人差があります。持病のある方、通院中・服薬中の方、妊娠中・授乳中の方は、自己判断で実践せず、必ず医師・薬剤師などの専門家にご相談ください。症状が続く場合は医療機関を受診してください。
信頼できる公的情報
- 厚生労働省「予防接種健康被害救済制度について」
- 厚生労働省「疾病・障害認定審査会 審議結果」(認定・否認の実績)
- PMDA「医薬品医療機器総合機構」(副反応報告・添付文書)
- 厚生労働省「e-ヘルスネット」
この記事を書いた人
- コロナ以前から仕事のなかで健康と栄養の知識を学び続けてきました
- 子どもの食育に取り組み、塾では大人にも栄養の話をしています
- 自身のうつの経験から栄養に行き着き、ダイエットも実践中
- 医療系の国家資格は持っていません。だから出典を明示して書いています
免責:本記事は情報提供を目的としたもので、診断・治療や予防接種の推奨・中止を目的としたものではありません。症状がある場合は医師・薬剤師など専門家にご相談ください。
最終更新: 2026年8月9日
更新履歴
- 2026-08-09 初版公開
参考にした資料
- 厚生労働省 疾病・障害認定審査会 感染症・予防接種審査分科会 新型コロナウイルス感染症予防接種健康被害審査第二部会 審議結果(令和8年7月16日)
- 厚生労働省 予防接種健康被害救済制度について
- Characterizing persistent Post-COVID-19 vaccination symptoms using MedDRA system organ class and preferred term classifications. Scientific Reports, 2026
- Yale School of Medicine LISTEN Study publications
- Immunological and Antigenic Signatures Associated with Chronic Illnesses after COVID-19 Vaccination(medRxiv プレプリント)



コメント