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「高性能フィルター」「◯◯項目除去」
浄水器の売り文句です。だいたいどの製品にも書いてあります。
問題は、この言葉だけでは何も比較できないことです。何を、どの条件で、どこまで減らせるのか。書いていないことのほうが多い。
比べる手がかりは別のところにあります。規格番号です。
なぜ「項目数」では比べられないのか
「170項目除去」と「59項目除去」が並んでいたら、前者のほうが良さそうに見えます。
でも、この2つはそもそも同じものを数えていない可能性があります。
- どの規格に基づいた項目数なのか
- 除去率の基準は何%なのか
- どういう水質・流量の条件で測ったのか
これらが揃っていなければ、数字は並べても意味を持ちません。同じ土俵に乗っていないからです。
数の大きさではなく、何に準拠しているかを見ます。
3つの規格の役割

浄水器まわりで出てくる規格を整理します。
| 規格 | 位置づけ |
|---|---|
| JWWA(日本水道協会) | 水道関連の資機材について協会が定める規格 |
| JIS S 3201 | 家庭用浄水器の試験方法を定めた日本産業規格 |
| NSF/ANSI | 米国発の第三者認証。番号ごとに対象が分かれる |
ここで押さえておきたいのは、JIS S 3201は「試験方法」の規格だという点です。
つまり「どう測るか」を定めたものです。製品がその方法で試験されていることと、特定の物質が除去できることは、同じではありません。
NSF/ANSIの番号が実務的に一番使える

具体的に確認できるのがこれです。番号ごとに対象が違います。
| 番号 | 主な対象 |
|---|---|
| 42 | 塩素、味、におい など(美観的な項目) |
| 53 | 鉛、PFASなど健康に関わる汚染物質 |
| 58 | 逆浸透(RO)方式のシステム |
| 401 | 医薬品成分など新興の汚染物質 |
見方はこうなります。
味やにおいを改善したいだけなら42。健康に関わる物質の除去を期待するなら53。
ここを取り違えると、「認証を取っている製品なのに目的の物質が減っていない」ということが起こります。42の認証は、鉛やPFASの除去を意味しません。
PFASの除去を期待する場合は、53、または逆浸透方式なら58の認証があるかを見ます。
ここが落とし穴です
大事な注意点があります。
「NSF認証取得」とだけ書いてあって、番号が書いていない場合。
NSFには浄水器以外の分野の規格もあります。そして番号ごとに意味が全く違います。番号を伏せた「認証取得」は、実質的に何も言っていないのと同じです。
もうひとつ。同じ53の認証でも、対象物質は製品ごとに指定されています。
53を取得していれば53のリストにある物質を全部除去できる、というものではありません。その製品が何について認証されているかは、個別に確認する必要があります。
確認する手順

実際にやることを書きます。5分もかかりません。
1. メーカー公式サイトで認証番号を探す
仕様・スペックのページか、よくある質問のあたりに書かれています。
2. 番号と対象物質を確認する
「NSF/ANSI 53認証(鉛、◯◯)」のように、対象が併記されているのが望ましい形です。
3. NSFの公式データベースで製品名を照合する
NSFは認証製品を検索できるようにしています。メーカーの表示と実際の登録内容を突き合わせられます。
4. 交換時期を確認する
ここが見落とされがちです。認証された性能は、規定の交換時期まで使った場合の話です。 期限を過ぎたフィルターは性能を保証されません。
公式サイトに認証情報が見当たらない場合、そのこと自体がひとつの情報になります。
販売トークで気をつける点
浄水器は不安と一緒に売られやすい商品です。実際に私も、そういう説明を聞く場に居合わせたことがあります。
いくつか型があります。
「日本の基準は世界最低レベル」型
制度の違いを危険度の差にすり替える言い方です。国ごとに基準の作り方も対象物質も異なるので、単純な優劣にはなりません。なお日本では2026年4月にPFOS・PFOAが水質基準項目になっています。古い前提の説明が残っていることがあります。
「◯◯項目除去」型
前述の通り、準拠規格が示されない項目数は比較できません。
「シェアNo.1」型
表示の根拠となる調査の出典・範囲・時期が示されているかを見ます。
これらは製品が悪いという話ではありません。 訴求の仕方と、製品の実力は別の話です。だから規格番号で見ます。
そもそも浄水器は必要なのか
先に書いておきます。水道水は水質基準を満たすよう管理されています。 浄水器がないと危険、という話ではありません。
そのうえで、検討する理由があるとすればこのあたりです。
- 味やにおいが気になる
- 地域の水質検査結果を見て、特定の項目が気になった
- 乳幼児がいるなど、家庭の事情
順番としては、まず自分の地域の水質検査結果を見ることをおすすめします。 自治体の水道局サイトで公表されています。
その検査結果の数字の読み方は、別の記事にまとめました。「不検出」がゼロを意味しないことなど、読み違えやすいところを整理しています。
不安の中身が分かってから製品を選ぶほうが、選択の精度が上がります。「何となく心配だから高い方」は、いちばん判断を誤りやすいパターンです。
てびきの場合
我が家でも飲み水をどうするかは何度か考え直してきました。塾でも子どもたちが水筒を持ってくるので、水の話は身近です。
正直に書くと、私は「これが正解」という結論を持っていません。 地域の水質も家庭の事情も違うからです。
ただ、やってよかったと思っていることが一つあります。製品を見る前に、住んでいる地域の水質検査結果を自分の目で見たことです。
人から聞いた不安な話より、自治体が公表している数字のほうが、はるかに落ち着いて判断できました。
それと、規格番号を調べる癖がついてから、売り場で迷う時間が減りました。 見るところが決まっているからです。
よくある質問
Q1. NSF認証があればPFASは除去できますか?
番号によります。PFASを対象とするのは主に53、または逆浸透方式の58です。42の認証はPFAS除去を意味しません。対象物質は製品ごとに指定されているため、個別に確認してください。
Q2. JIS規格の製品ならNSFは不要ですか?
JIS S 3201は試験方法の規格で、NSF/ANSIとは性格が異なります。どちらが上ということではなく、確認できる内容が違うと考えてください。
Q3. 項目数が多いほど高性能ですか?
準拠する規格と測定条件が示されていなければ比較できません。数ではなく、目的の物質が対象に含まれるかを見てください。
Q4. どの製品がおすすめですか?
特定の製品はおすすめしません。用途と、認証番号・対象物質・交換時期の3点で選ぶ方法をお伝えしています。
Q5. 浄水器を使えば水道水より安全になりますか?
水道水はもともと水質基準を満たすよう管理されています。浄水器は目的に応じた選択肢であり、安全性を保証するものではありません。
Q6. フィルターはいつ交換すればいいですか?
メーカーが指定する時期に従ってください。認証された性能は、その期間内で使用した場合のものです。
Q7. 井戸水にも使えますか?
井戸水は水道水と検査の枠組みが異なり、水質も個別です。まず自治体の相談窓口や水質検査機関にご相談ください。
Q8. ウォーターサーバーはどうですか?
浄水器とは仕組みも管理方法も異なります。開栓後の扱いや衛生管理の考え方が変わるため、同じ基準では比較できません。
規格を確かめてから選びたい人へ
この記事は特定の製品をすすめるものではありません。ただ「番号で確かめる」と書いた以上、実際に仕様を見に行ける先がないと確かめようがないので、確認しやすいものを2つ挙げておきます。どちらも、対象物質と規格をご自身で確認したうえで判断してください。
カートリッジ交換まで含めて月額で考えたい場合の選択肢です。導入前に、交換頻度と対象物質を必ず確認してください。
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本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の疾病の診断・治療・予防や、特定製品の効果を保証するものではありません。必要な対策は地域・住環境・水源によって異なります。水質に関する個別のご相談はお住まいの自治体の窓口へ、体調に不安のある方は医療機関にご相談ください。
信頼できる公的情報
- NSF「NSF/ANSI 規格と認証製品の検索」
- 日本水道協会「JWWA規格・検査」
- 日本産業標準調査会「JIS検索」(JIS S 3201)
- 国土交通省「水道」(水質基準の所管)
- 国民生活センター「浄水器の販売トラブル事例」
この記事を書いた人
- 子どもの食育に取り組み、塾では大人にも栄養の話をしています
- 水まわりの販売トークを実際に聞いた経験から、規格で確かめる方法を調べました
- 医療系の国家資格は持っていません。だから出典を明示して書いています
免責:本記事は情報提供を目的としたもので、診断・治療や特定製品の効果を保証するものではありません。症状がある場合は医師・薬剤師など専門家にご相談ください。
最終更新: 2026年8月1日
更新履歴
- 2026-08-01 初版公開



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