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「原材料表示を見れば、何が入っているか分かる」
そう思っていました。違いました。
制度として、表示を省略できる添加物があります。隠しているのではなく、そういうルールになっています。だから表示を見ても気づけません。
日本の食品は安全だ、と言われます。実際、制度はよくできています。ただ「表示を見れば分かる」と思っていると、見落とすところがある。そこを8つ書きます。
不安を煽る話ではありません。知っていれば選べる、という話です。

① 表示を省略できる添加物が、3種類ある
食品表示基準では、次の3つに当てはまる添加物は表示を省略できます。
| 省略できるもの | どういうものか |
|---|---|
| 加工助剤 | 製造の途中で使い、完成前に取り除かれるもの |
| キャリーオーバー | 原材料に使われていたが、その食品では効果を持たない量しか残らないもの |
| 栄養強化目的 | 栄養を補う目的で使われたもの |
つまり原材料表示に書いていない=使われていない、ではありません。
→ 表示は「何が残っているか」ではなく「何を表示する義務があるか」を示しています。ここを分けて読む。

② せんべいに保存料が表示されないことがある
キャリーオーバーの例が、消費者庁の資料に載っていました。分かりやすいので引用します。
保存料が使われている醤油で、せんべいを味付けする。せんべいにも保存料はごく微量だけ移ります。でもその量では保存料としての効果を持ちません。
この場合、せんべいの表示に保存料は書かれません。
→ 「原材料が少ない=添加物が少ない」とは限らない。原材料そのものに何が使われていたかは、表示からは追えません。

③ 洗浄に使った薬剤も、流されるなら表示しなくてよい
加工助剤の例も出ていました。
次亜塩素酸水で野菜などを洗い、そのあと水洗いで全部流される。製品に残っていないので、これは表示されません。
理屈は分かります。残っていないものを書いても意味がない。ただ「使われたかどうか」は表示から分からない、というのは知っておいていいと思います。
→ 表示は製造の過程を教えてくれるものではない。完成品に何が残っているかの話です。
④ レモンが腐らないのは、日本の分類では「農薬」ではない
輸入のかんきつやバナナには、運ぶあいだにカビが生えないよう防かび剤を使うことがあります。OPP、ジフェニル、TBZ、イマザリルなど。
ここが引っかかりました。日本の制度では、収穫後に使うこれらを「食品添加物」に分類しています。
だから農薬の話だと思って探しても出てきません。表示される場所そのものが違います。
→ 輸入かんきつの表示で「防カビ剤(イマザリル)」を探す。用途名と物質名の表示は義務なので、ここは書いてあります。

⑤ 同じ薬でも、収穫後にかけるほうが基準が500倍ゆるい
イマザリルで比べると、こうなっています。
| どう使ったか | 残っていい上限 |
|---|---|
| 収穫後(食品添加物として) | かんきつ類 5.0ppm/バナナ 2.0ppm |
| 栽培中(農薬として) | 小麦 0.01ppm/米 0.05ppm |
同じ物質で500倍の開きです。
作物ごとに食べる量も部位も違うので、単純に「ゆるい」と決めつけることはできません。ただ使うタイミングで別の枠に入り、別の基準で管理されるという構造は、知らないと気づけません。
→ 皮を料理に使うなら国産を選ぶ。防かび剤は主に皮に残ります。皮を使わないなら気にしすぎなくていい。

⑥ 「無添加」表示に、ガイドラインができた
令和4年3月、消費者庁が食品添加物の不使用表示に関するガイドラインを出しています。
裏を返せば、それまで誤解を招きやすい「無添加」表示があったということです。
そもそも「無添加」は何が入っていないかを示す言葉であって、安全性を示す言葉ではありません。何が無添加なのか書かれていないこともあります。
→ パッケージ表側の「無添加」より、裏の原材料表示を見る。ただし①〜③のとおり、それでも全部は分かりません。

⑦ 添加物は、人での試験をしていない
これは事実です。人に毒性試験はできないので、動物実験で決めています。
食品安全委員会の資料によると、こういう手順です。
100の内訳は、動物と人の違いで10倍、人それぞれの差で10倍。
幅は取ってあります。ただしこれは1つの物質ごとの評価です。何十種類を毎日いっしょに摂ったときにどうなるかは、この方法では分かりません。
→ 個々の基準を信じるかどうかより、加工食品の量そのものを減らすほうが確実だと思っています。

⑧ 「日本は1,500種類」は、4つの違うリストを足した数
数の話もしておきます。「日本は添加物が世界一多い」の根拠によく使われる数字です。
| 分類 | 品目数 | 性質 |
|---|---|---|
| 指定添加物 | 約476 | 国が指定した確定リスト |
| 既存添加物 | 327 | 昔から使われてきたもの |
| 天然香料 | 約600 | 例示 |
| 一般飲食物添加物 | 約100 | 例示 |
後ろの2つは「例示」で、確定した品目リストではありません。性質の違うものを足して1,500にしています。
海外との比較も要注意で、日本は容器から微量に移る分を添加物に数えていません。数える対象が国によって違います。
→ 数の多さでは判断できない。多いから危ない、少ないから安全、どちらの方向にも使えない数字です。

今日からできること
表示を完璧に読むのは無理でした。できることは、もっと手前にあります。
| やること | なぜ |
|---|---|
| 皮を使うときだけ国産のかんきつにする | 防かび剤は主に皮に残る。皮を使わないなら気にしすぎない |
| 輸入かんきつは「防カビ剤」表示を見る | 用途名と物質名の表示は義務。ここは書いてある |
| パッケージ表側の「無添加」を判断材料にしない | 何が無添加かは書かれていないことがある |
| 原材料の少ないものを選ぶ | 表示できない分もあるので、加工の段階が少ないほうが読みやすい |
| 数の多さで怖がらない | 「1,500種類」は4つの違うリストの合計 |
念のため
- 表示の省略は制度であって、隠しているという話ではありません
- 一日摂取許容量は「毎日一生食べ続けても大丈夫」とされる量です
- アレルギーや持病がある方は、食生活を変える前に主治医へ
記事のとおり、表示だけで全部は分かりません。だから「無添加だから安全」ではなく、「加工の段階が少ないほうが表示を読みやすい」という理由で挙げています。お試しセットは、原材料欄を見比べる練習に使えます。安全性を保証するものではありません。
てびきの場合
私はずっと「原材料表示を見れば全部わかる」と思っていました。そこが違ったのが、いちばんの収穫です。
輸入レモンについても、農薬のことだと思っていました。日本の分類では添加物で、表示される場所も違う。探していた場所が間違っていたわけです。
数の話も同じでした。「1,500種類」を多いか少ないかで考えていましたが、中身は4つの違うリストの合計で、うち2つは確定した品目リストですらない。数える対象がそろっていないものを比べていたことになります。
完璧には読めません。それでも、どこまでが表示されていて、どこからが表示されないのかを知っているだけで、表示の見方は変わります。
よくある質問
Q1. 原材料表示を見れば添加物は全部わかりますか
わかりません。加工助剤、キャリーオーバー、栄養強化目的の3つは表示を省略できます。制度としてそう決まっています。
Q2. キャリーオーバーとは何ですか
原材料に使われていた添加物が、その食品では効果を持たない量しか残らない場合のことです。保存料入りの醤油でせんべいを味付けした場合、せんべいの表示に保存料は書かれません。
Q3. 輸入レモンの皮は使わないほうがいいですか
気になるなら国産をおすすめします。防かび剤は主に皮に残るためです。皮を使わないのであれば、そこまで気にしすぎなくていいと思います。
Q4. 防かび剤はなぜ農薬ではなく添加物なのですか
日本の制度では、収穫後に食品へ使うものを食品添加物として扱うためです。栽培中なら農薬、収穫後なら添加物という分かれ方をしています。
Q5. 「無添加」と書いてあれば安心ですか
「無添加」は何が入っていないかを示す言葉で、安全性を示す言葉ではありません。令和4年に消費者庁が不使用表示のガイドラインを出しています。パッケージの表側より、裏の原材料表示を見るほうが確かです。
Q6. 添加物は動物実験しかしていないのですか
人での毒性試験は行いません。動物実験で何も起きない最大量を調べ、その100分の1を一日摂取許容量としています。100は動物と人の違いで10倍、人それぞれの差で10倍という内訳です。
Q7. 何種類も同時に摂って大丈夫ですか
一日摂取許容量は物質ごとの評価です。多数を組み合わせたときの影響は、この方法では評価されていません。だからこそ加工食品の量そのものを減らすほうが確実だと思っています。
Q8. 日本は添加物が世界一多いのですか
「1,500種類」は4分類の合計で、うち2つは確定リストではなく例示です。日本は容器から移る分を数えていないなど、国によって数える対象も違います。数だけでは比較になりません。
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本記事は食品添加物の表示制度について、公的資料をもとに整理した一般的な情報提供です。特定の食品や添加物の危険性を主張するものでも、安全性を保証するものでもありません。食物アレルギーのある方、持病のある方、妊娠中・授乳中の方は、食生活を大きく変える前に医師や管理栄養士など専門家にご相談ください。体調に気になる症状がある場合は医療機関を受診してください。
参考にした資料
- 消費者庁「食品添加物表示に関するマメ知識」
- 消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」(令和4年3月30日)
- 厚生労働省「食品添加物の表示について」
- 公益財団法人 日本食品化学研究振興財団「食品衛生法に基づく添加物の表示等について」
- 消費者庁「防かび剤 イマザリル 分析法」
- 厚生労働省「防かび剤 オルトフェニルフェノール、ジフェニル及びチアベンダゾール」
- 厚生労働省「食品中に残留する農薬等に係るポジティブリスト制度」
- 内閣府 食品安全委員会「一日摂取許容量(ADI)とは?」
- 公益財団法人 日本食品化学研究振興財団「指定添加物リスト」「既存添加物名簿収載品目リスト」
この記事を書いた人
- 子どもの食育に取り組み、塾では大人にも栄養の話をしています
- 自身のうつの経験から栄養に行き着き、ダイエットも実践中
- 医療系の国家資格は持っていません。だから出典を明示して書いています
免責:本記事は情報提供を目的としたもので、診断・治療を目的としたものではありません。食生活で気になることがある場合は、医師や管理栄養士など専門家にご相談ください。
最終更新: 2026年8月3日
更新履歴
- 2026-08-03 初版公開



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