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「日本にはPFASの基準値がない」
少し前まで、この説明はあちこちで使われていました。私も何度か見かけました。
でも、いまは違います。2026年4月1日から、水道水のPFASは「守らなければいけない基準」になりました。
情報が古いまま流れ続けているのを見かけるので、いま何がどうなっているのかを整理しておきます。
何が変わったのか

いちばん大事な部分から書きます。
PFOSとPFOAという2つの物質が、「水質管理目標設定項目」から「水質基準項目」に格上げされました。2025年6月に決まり、2026年4月1日に施行されています。
言葉が硬いので、意味を書き直します。
| 以前(目標設定項目) | いま(水質基準項目) | |
|---|---|---|
| 位置づけ | 目指す値 | 守る義務のある値 |
| 検査 | 事業者の判断 | おおむね3か月に1回の義務 |
| 超えたとき | 努力目標 | 基準違反として対応が必要 |
基準値はPFOSとPFOAの合計で 50ng/L(1リットルあたり0.00005mg)です。
ng(ナノグラム)は10億分の1グラム。ピンとこない単位ですが、それだけ微量でも管理する対象になった、ということです。
なぜ格上げされたのか
PFASは「Per- and Polyfluoroalkyl Substances(有機フッ素化合物)」の総称です。数千種類あるとされ、そのうちPFOSとPFOAが特に問題視されてきました。
理由は、分解されにくいことです。
自然界でほとんど分解されないため「forever chemicals(永遠の化学物質)」と呼ばれます。土壌や地下水に入ると長く残り、蓄積していきます。撥水加工や泡消火剤などに使われてきたため、使用地点の周辺で検出されることがあります。
健康影響については研究が続いており、各国で規制が強化されてきました。日本の今回の格上げも、その流れの中にあります。
すでに基準超過が報告されています
施行後、44件の基準超過が報告されています。
数字だけ見ると不安になるかもしれませんが、ここは冷静に読んでください。
基準ができたから、超過が「見える」ようになったという側面があります。以前は検査自体が義務ではなかったので、そもそも測っていない場所が多かった。測るようになれば、超えている場所が出てくるのは当然です。
これは制度が悪化したのではなく、見えていなかったものが見えるようになったということです。
そして超過が判明すれば、対応が必要になります。これが基準項目に格上げされた意味です。
自分の地域はどうなのか

ここがいちばん知りたいところだと思います。
お住まいの自治体の水道局サイトで「水質検査結果」を探すのが確実です。 検査が義務化されたので、結果は公表されます。「(自治体名) 水質検査結果 PFOS」で検索すると出てきます。
環境省もPFASに関する情報を公開しています。全国的な状況を知りたい場合はこちらです。
一次情報にあたるのがいちばん早い。人づての「〇〇県が何倍だった」という数字は、いつの、どこの、何の値なのかが抜け落ちていることが多いです。
ここからは、まだ分かっていないこと

線を引いておきます。
どのくらいの量で、どんな健康影響が出るのか。 ここは研究が続いている段階です。基準値は現時点の知見にもとづく管理値であり、「これを1回超えたら健康被害が出る」という意味ではありません。
日本人の体内蓄積量と健康状態の関係。 大規模な追跡調査はまだ限られています。
PFOS・PFOA以外のPFAS。 数千種類あるうち、基準になったのは2つです。他の物質については、今後の検討課題として残っています。
不安を煽るつもりも、大丈夫だと言い切るつもりもありません。「管理が始まったが、全部が分かったわけではない」というのが正確なところです。
浄水器を考えるなら、規格を見る
「じゃあ浄水器を買えばいいのか」と思われるかもしれません。
ここで気をつけたいのは、浄水器の「除去性能」は製品によって全く違うことです。そして、それを判断する手がかりが規格にあります。
代表的なものを挙げます。
| 規格 | 何を示すか |
|---|---|
| JWWA(日本水道協会) | 日本の浄水器規格。残留塩素・濁りなど基本的な項目 |
| JIS S 3201 | 家庭用浄水器の試験方法を定めた日本の規格 |
| NSF/ANSI(米・第三者認証) | 番号ごとに対象が違う。53が鉛やPFASなど健康関連、42が塩素・味やにおい、58が逆浸透、401が新興汚染物質 |
PFASの除去を期待するなら、NSF/ANSI 53 または 58 の認証を取得しているかを確認するのが具体的な見方です。「高性能」「〇〇項目除去」といった売り文句ではなく、認証番号で見ます。
メーカーの公式サイトに認証情報が載っています。載っていない場合は、その理由を考えたほうがいいかもしれません。
なお、浄水器がないと危険、という話ではありません。 水道水は基準を満たすよう管理されています。ここは選択肢の話です。
てびきの場合
我が家では、子どもが小さいころから飲み水をどうするかは何度か考え直してきました。塾でも子どもたちが水筒を持ってくるので、水の話はわりと身近です。
正直に書くと、私自身は「これが正解」という結論を持っていません。地域の水質も家庭の事情も違うからです。
ただ一つだけ、やってよかったと思っていることがあります。自分の住んでいる地域の水質検査結果を、一度自分の目で見たことです。
人から聞いた不安な話より、自治体が公表している数字のほうが、はるかに落ち着いて判断できました。5分で終わります。
よくある質問
Q1. 水道水は飲まないほうがいいですか?
そういう記事ではありません。水道水は水質基準を満たすよう管理されており、2026年4月からはPFASもその基準に含まれています。心配な場合は、まずお住まいの自治体の水質検査結果をご確認ください。
Q2. 基準値の50ng/Lはどのくらいの厳しさですか?
PFOSとPFOAの合計で1リットルあたり0.00005mgです。国によって設定値や考え方は異なります。日本の値は現時点の知見にもとづく管理値です。
Q3. 44件の超過が出たと聞くと不安です
検査が義務化されたことで把握できるようになった数字です。以前は測っていない場所も多くありました。超過が判明した地域では対応が求められます。詳しくは当該自治体の公表資料をご覧ください。
Q4. ペットボトルの水なら安全ですか?
清涼飲料水と水道水では、適用される法律も検査項目も異なります。どちらが上ということではなく、制度が違うということです。開栓後は早めに飲みきるなど、扱い方も含めて考える話になります。
Q5. 浄水器はどれを買えばいいですか?
特定の製品はおすすめしません。判断の手がかりとしては、NSF/ANSIの認証番号(53・58など)を公式サイトで確認する方法があります。PFASを対象とするかは製品ごとに異なります。
Q6. PFASは体からどうやって出ていきますか?
体内での挙動については研究が続いている段階です。「これで排出できる」といった方法をうたう情報には注意してください。
Q7. 井戸水を使っています
井戸水は水道水と検査の枠組みが異なります。心配な場合は、自治体の相談窓口や水質検査機関にご相談ください。
Q8. この情報はいつまで有効ですか?
PFASの規制は各国で動いています。この記事は2026年7月時点の内容です。更新があれば追記します。
規格を確かめてから選びたい人へ
この記事は特定の製品をすすめるものではありません。ただ「番号で確かめる」と書いた以上、実際に仕様を見に行ける先がないと確かめようがないので、確認しやすいものを2つ挙げておきます。どちらも、対象物質と規格をご自身で確認したうえで判断してください。
カートリッジ交換まで含めて月額で考えたい場合の選択肢です。導入前に、交換頻度と対象物質を必ず確認してください。
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本記事は健康・環境に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の疾病の診断・治療・予防や、特定製品の効果を保証するものではありません。水質や必要な対策は地域・住環境によって異なります。体調に不安のある方、気になる症状のある方は医療機関にご相談ください。水質に関する個別のご相談はお住まいの自治体の窓口へお願いします。
信頼できる公的情報
- 環境省「PFASに関する情報」
- 国土交通省「水道」(水質基準の所管)
- 厚生労働省「健康・食品・医療の情報」
- NSF「NSF/ANSI 規格と認証製品の検索」
この記事を書いた人
- コロナ以前から仕事のなかで健康と栄養の知識を学び続けてきました
- 子どもの食育に取り組み、塾では大人にも栄養の話をしています
- 医療系の国家資格は持っていません。だから出典を明示して書いています
免責:本記事は情報提供を目的としたもので、診断・治療を目的としたものではありません。症状がある場合は医師・薬剤師など専門家にご相談ください。
最終更新: 2026年7月31日
更新履歴
- 2026-07-31 初版公開



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